かつては やっていたことを、今は やってない。それは、
マニュアルづくりだ。
かつては ひとアイテム制作が終わるたびに、各工程でスタッから受けた指導を、担当した塾生たちにマニュアルとしてまとめさせていた。やったことを やりっぱなしにせず、ふり返りながらまとめることで、確実に自分のモノにするためだ。
塾生たちに失敗はつきものだ。失敗のたびにスタッフは残業して遅れを挽回し、時には材料を追加購入することもある。マニュアルづくりには、そんな損失を減らそうとした思いもある。
しかし、マニュアルには 弊害もある。塾生が考えなくなって、マニュアル通りにしかやらなくなったのだ。
マニュアルなんてのは、ある条件のもとでの一つのやり方でしかない。無垢の木を使っていれば、常に条件は変わるから、条件に応じて やり方を変えなければならない。マニュアルなんて、参考程度に目を通せばいいのに、マニュアルが正解とばかりに思い込んでしまうのだろう。
正解は、一つではないのだ。
だから、今はマニュアルがない。フロチャートもない。塾生に渡すのは、図面だけだ。そして塾生たちは、その日の作業内容を、自分のまとめのノートに記録していく。これが自分だけのテキストと言えよう。


中級生になる頃までには、図面を読み込み 工程を組み立て 仕口を検討し 刃物の選定と機械での加工方法を検討する、そんな力が付いていることだろう。
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