使えない知識。
初級生の彼女は、工芸高校の卒業生。
高校で、”ならいめ/さかめ"って習うんですけど、その意味がイマイチよくわからなかったんです。先生に質問しても、「テストに出るから、暗記しとけばいいんや」と言われるだけで…それが、たくみ塾で実際に材料をさかめで削ったら、”さかめ”ってこういうことだったんだと納得できました。
ここから、あなたは何を学ぶだろうか?
経験から学ぶ、失敗から学ぶ。
たくみ塾の制作実習は、初日から現場での実習が始まる。事前学習は、ない。練習も、ない。
何もわからない、何の経験もないのに、初日からいきなり本番が、始まる。やったことのない作業、使ったことのない木工機械に携わるのだ。それも、課題作品の制作とかではなく、実際にお客様の手に渡る、製品の制作に携わるのだ。
知識をないがしろにして、経験だけでいいと言っているのではない。順番が大事だと言っている。
まずは、やってみる。➡︎はじめてやってみると、やっぱり失敗をする。➡︎失敗から、足りなかったものを考える。➡︎足りないものを学んで身につけて、つぎからは失敗しないようにする。
何も目新しい学習方法ではない。赤ちゃんがつかまり立ちをする時のプロセスと、なんら変わりはないとは思わないか?
失敗して叱られて身に付けたことは、全て必要なことだから、カラダが覚えている。いつ使うともわからない知識をアタマに丸暗記したところで、大半を忘れてしまうのとは大違いだ。
暗記では木工はできない。
無垢の木を素材として扱う木工の世界は、常に応用だ。基本を知っているだけではダメで、常に判断をしていかなければならない。そうした時に、意味もわからずに暗記した知識など、テストの点を取るためのものでしかない。現場で生かされない知識に過ぎない。
学校教育では、問題Q1に対して答えA1が用意されている。テストでは、Q1➡︎A1の関係性を暗記して答えるか、計算などでA1を早く導くことが求められる。
職人(スタッフ)の頭の中では、目の前の問題Q1に対して、A1・A2・A3・・・と取りうるべき選択肢として複数の答えを想定する。そして目の前の状況を観察し、その時の最適解としてA2を選ぶ。それを見て塾生はQ1➡︎A2の関係性のみ暗記をする。そうすると、どうなるかわかるだろうか?
日を改めて問題Q1が現れた時、塾生はためらいなくA2を選択して実行する。例えば、前回はナラを切る時にA2のやり方で切った。次にクリを切る時にA2のやり方をするだろう。そして職人(スタッフ)に叱られるのだ。塾生にしたらQ1➡︎A2の正しい答えを導いているのに叱られるのだから理不尽極まりないことだ。
マニュアルでは身につかない判断力。
塾生は職人に問われるだろう。「状況をよく見たのか?その上で最適解としてA2を選択した理由はなんなんだ?」
たくみ塾にも、マニュアルらしきものはある。しかしマニュアルに頼った途端に、失敗を繰り返すことになる。
塾生は職人に言われるだろう。「マニュアル通りになんか、やるんじゃないよ。やり方は自分で最適な方法を選択してやるんだ。」と。
森林たくみ塾
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