OBの活躍ぶり ~木工を社会で活かす。

森林たくみ塾でまなぶということ

森林たくみ塾でまなぶということ

7期生の旭さんは、父親からの屋号「うすや」を引き継いで、滋賀県で木工を営んでいる。仕事柄、ロクロ加工や手工具の自作を得意としているので、時には講座も担当してもらっている間柄。そんな旭さんには、当塾が忙しい時には何度もお手伝いに来てもらっている。

今回は長期に渡って仕事を手伝いに来てもらっており、制作実習で塾生と関わる中で、塾生に話しておきたいことがあるとのこと。そこで、先日の全日講座で小講座を持ってもらった。

数をこなすことの利点

1個や2個作った程度で、モノづくりができるつもりになってはいけません。1個作るだけだったら、その中でつじつま合わせればいいので、粗も目立たないかもしれません。
最初の1個も最後の1個も、同じクオリティで作り続けることができないと、仕事にはなりませんし、職人ではありません。
そして、同じ作業を複数人でやった時には、腕の差が出来上がりの差として如実に現れてしまいます。求められるクオリティを正しく理解して、コンスタントに維持すること。その難しさをモノにするためにも、数をこなすことには利点があります。
数モノ(数のたくさんあるモノ)をやると、同じ作業の繰り返しを退屈に感じていませんか?しかし、数モノをやることを、退屈な作業として終わらせてしまっては、もったいない限りです。何を考えながら作業をするかが大切で、それによって得るものは、人によって大きく違ってくるのです。
1つだけの加工だったら、それはあっという間に終わってしまうことでしょう。それに対して、100ケの加工をやれば、100回考えることができるのです。それは100回同じ作業を繰り返すのではなく、100回の改善を積み重ねることができるということです。

速くやることと早くやること

作業は、ただ速くやればいいということではありません。速くやったのは良いが仕上がりが雑になってしまい、検品・やり直しなどの手間が掛かって、結局時間がかかってしまうこともあります。
モノの配置1つ取っても、部材の取り方や置き方1つとっても、小さな改善を積み重ねることで無駄を省くことができます。無駄がなく美しく作業をできる職人になることが大切です。

完成形をイメージする

皆さんは作業をしているときに、モノの完成形のイメージがどこまで描けているでしょうか?完成形のイメージが描けていないと、各工程で求められる品質や加工精度も判断がつきません。
わかりやすいところでは、塗装がナチュラルかブラウンかで、前工程の仕上げの程度が違いますよね。目の前の工程の作業だけで一杯一杯にならず、まずは完成形をイメージして、そこから前工程を組み立てることが大切です。

素直にまなぶ

私は29歳で木工を始めましたから、それほど若くはありませんでした。卒塾後に弟子入りした作家さんのもとで仕事の指示を受けた時、「今までこうやってましたから」と返したら「だったら、ここにいる必要はないね」と言われて、ハットしました。
”まなぶ”ということは”まねぶ”ということです。自分の考え方や経験値でやっている限りは何も学べず、自己流・我流を脱することはできません。
皆さんも、スタッフの指示することが素直に聞けずに、言われたことをやって見もせずに自分のやり方を通していないでしょうか?経験が足かせとなると人の話が聞けないし、そもそも耳に入ってきません。それではここで学ぶ意味もありません。
木工修業の場で学ぶためには、自分の意見を挟まずに、言われたことはとりあえずそのままやってみることが大切です。そしてやってみてから、自分の意見と比較してみることです。とにかく素直にやってみることが成長につながります。だから、若いほど素直で成長は早いですね。

現在は、3名のOBたちに仕事を手伝ってもらっている。
そんな彼らから日常的に話を聞けることも、当塾の利点かもしれない。

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小木曽 賢一

代表取締役株式会社たくみ塾
森林たくみ塾 塾長 株式会社たくみ塾 代表取締役 オークヴィレッジ株式会社   制作部 生産管理係長   緑の国推進委員長
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