コラム

「森の出口を、自分の手でつくる」——林学部のあなたへ

「森の出口を、自分の手でつくる」——林学部のあなたへ

こんにちは。森林たくみ塾の塾長です。

飛騨の森にも、少しずつ春の気配が訪れはじめました。
森を歩けば、薄緑色に木々が芽吹き始め、静かに季節の移ろいを教えてくれます。

さて今日は、林学を学ぶあなたにこそ届けたいお話です。

先日、塾を見学してくれた大学生の方が、こんな言葉を話してくれました。

「伐った木の、その先が見たいんです。」

林業の実習で伐採や搬出には触れてきたけれど、その木が“その後”どう生かされていくのかを、自分の目で確かめたい。
——その想いが、彼女を木工へと導こうとしていました。

実は、たくみ塾の卒塾生にも、同じような想いを持って飛び込んできた方がいます。

18期生の小﨑尚美さんです。
彼女もまた大学で林学を学び、「森林の課題に取り組むには、出口戦略が必要だ」と感じたひとりでした。

その「出口」とは、森林資源をどう活用するか、ということ。

彼女は、「自分自身が作り手になることで、その課題の解決に寄与したい」と考えました。
そして木工は全くの未経験ながら、たくみ塾で職人への道を選んだのです。

卒塾後は、きまま工房 木楽里(埼玉県飯能市)で木工教室の指導。佐賀市の森林組合勤務を経て、平成26年より福岡県うきは市の地域おこし協力隊として活躍。

現在は、株式会社 杉工場で職人として活躍しているそうです。

それだけでなく、木工関係者と「うきは木育クラブ」を立ち上げて様々な活動を展開しているそうです。木工教室を開き、子どもたちと木をつなぐ「木育」の活動にも力を入れています。

森林科学を学んだ彼女だからこそ見えている風景がある。
そして、その学びを、“手を動かすこと”へとつなげたからこそ、地域での役割を自ら切り拓いていけたのだと思います。


木工は、単に「モノをつくる」だけの仕事ではありません。
木が持つ力を、人の暮らしへとつなぐ。
森の命を、次の形に受け継ぐ。
その中には、きっと林学の学びから広がるものがあるはずです。

「森の出口が見える仕事をしたい」

そう願うあなたへ。
その想いを、どうか諦めないでください。
学問と職人のあいだには、確かに距離があるように感じるかもしれません。
でも、その間に橋をかけることはできます。
たくみ塾は、その橋のたもとで、あなたを待っています。

一度、木に触れてみてください。

その瞬間、森とつながる新しい自分に、きっと出会えるはずです。

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小木曽 賢一

代表取締役株式会社たくみ塾
森林たくみ塾 塾長 株式会社たくみ塾 代表取締役 オークヴィレッジ株式会社   制作部 生産管理係長   緑の国推進委員長
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