制作実習 ~仕事を身に付ける。

指示のその先へ。

指示のその先へ。

こんにちは。

今日は、ある新入生の小さな“気づき”から、たくみ塾らしい「学び」のお話をご紹介します。

実習を終えて休憩室に戻ってきたNくんは、まとめのノートに今日の作業内容を記録しながら、他の新入生たちと話をしていました。

そのとき――
Hさんがふらっと部屋に入ってきて、こんなひと言を投げかけました。


スタッフH:「Nくん、作業が終わった材料に、毛布は掛けたか?」
新入生N:「はい、掛けました」
スタッフH:「じゃあ、なぜ毛布を掛けるのか、意味をわかっているか?」
新入生N:「……ホコリ除け、ですか?」
スタッフH:「じゃあ、ホコリが掛からないように、ちゃんときれいに掛けたのか?」
親友生N:「……見てきます!」

(Nくん、ダッシュで工房へ戻っていきました)


Key:「(あ、これって“確認”じゃなくて、“気づいてほしい”問いかけなんだ…)」

少しして、Nくんが戻ってきました。

新入生N:「すいません、掛け方が雑でした……」
スタッフH:「ほらな。今のレベルは、“毛布を掛けろ”と言われたから、ただ掛けただけだろ。
でも、それじゃダメなんだ。“なぜ掛けるのか”を考えなきゃ、やってる意味がないだろ?

実習も一緒だぞ。
言われたことを言われたようにちゃんとやらなきゃダメだけど、言われたことをただやっているだけじゃ、ダメだからな。その意味や理由まで理解していかないと、何も学べないぞ。」


その後、私はそっと塾長に尋ねてみました。

Key:「塾長、さっきのHさんの問いかけって、すごく印象的でした。
“なぜやるのか”を自分で考えるように導いてる感じがして…
あれって、たくみ塾で大事にしてる考え方なんでしょうか?」

塾長:「うん、大事にしてるよ。
というより、それが“育てる”ってことなんじゃないかな。
ただ答えを教えたら、考えなくなっちゃう。
それに、木工技術だけ教えても意味ないでしょ。」

Key:「ああ……“やり方”を覚えるだけじゃなくて、“考え方”を身につけるってことですよね」

塾長:「そう。特に今どきの若者って、指示された言葉の文字ズラだけしか理解できないよね。
ホウキで掃けって言ったら、ただホウキを動かすだけでキレイになってないとか、
戸を閉めろって言ったら、バタンって音立てて閉めるとか――
よくあることなんだよ。
でも、そういうのって、“なぜそうするのか”を理解してない証拠なんだよね。
だから、まず“考える”ってことから始めてほしいんだ。

そして、ひとつひとつの所作のレベルを上げていくことだね。」


毛布を一枚、ていねいに掛けるというシンプルな行為に、
こんなにも深い意味が込められているなんて――。

“指示された通りにやる”ことは、たしかに大切。
でも、それだけじゃプロにはなれないんですよね。

自分の頭で考える。
その先にある「気づき」を、自分のものにしていく。
それが、たくみ塾での“学び”の本質なのだと、私は改めて感じました。

それでは、またの更新をお楽しみに。

Keyでした🌿

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