図面通りのものを作ることと、一からアイデアを練って形にすることの隔たりは大きい。表現したいことと加工できること、やってみたいこととできること、無垢の木ならではの様々なクセ、発表までの限られた日数、そして自らの能力。
そうした制約を乗り越えて、ようやく作品発表に辿り着いた。
事前のアイデアプレゼンではスタッフが色々とアドバイスをしてくれたことだろう。しかしそれを素直に聞きいれるばかりでもない。自分の思うようにやってみたい、という気持ちが優先するからだ。
「あのときのスタッフの言葉は、こういうことだったのか」と、やってみたからこそ理解ることもある。
遠目に見ると良い出来に見えても、近くで見ればいくらでもアラ探しができるだろう。
材料の選び方、加工の段取り、機械の選定、加工精度、プロポーションやディテールの処理…。あの時、ああすればよかった・こうすればよかったという反省点がたくさん見えるほどに、課題作品への取り組みは次への成長に活かせるのだ。
親、知人、はたまた自分自身。課題作品を制作するにあたって、各々に設定したクライアントがいる。そのクライアントの要求をヒアリングしながら、何を納めるのか、それをどのように納めるのか、その使い勝手はどうか、そこに無垢の木のクセを折り込みながらもその魅力をどのように表現するのか…。持ちうる限りの知恵と技術を振り絞り、様々にアイデアを凝らしながらもカタチにしてきた作品だ。
だからこそ、作品は完成して終わりではない。クライアントに使ってもらってこそのもの。
さて、クライアントの皆さま、使い心地はいかがだろうか。
コメントを残す