森林たくみ塾へは、国内外からいろいろなお客様がいらっしゃいます。時にはスライドショーなどを交えて、特別講座を開催することもあります。
今回は、金沢大学教育学部で助教授をなさっている岳野先生がお見えになり、海外の木工学校事情を紹介してくれました。
日本の大学では、技術の先生になるための木工の授業は2単位、つまり90分×15コマ=22.5時間しかないのだそうです。(比較のために、計算してみました。森林たくみ塾の実技は4000時間以上、講座は300時間以上ありますね。)
それだけの時間の授業で教員になり、生徒に技術を教えるのも大変でしょうが、学校教育の中で技術の授業、中でも木工が縮小傾向にあり、技術の先生も減っているそうです。カンナも持てない技術の先生も多いのが実情だそうです。
岳野先生は、日本の小中学校でのモノづくり教育の縮小と、地元金沢のモノづくりの現場に元気が無いことを危惧して、何とかせねばとの思いで海外の木工学校の事情を視察に行かれたそうです。 スライドでは、3つの木工学校を紹介していただきました。
・アメリカ・カリフォルニアの『カレッジ オブ レッドウッド』
・スウェーデン・ストックホルムの家具スクール『カールマルムステン』
・スウェーデン、エーランド島のクラフトスクール『カペラガーデン』
学生さんたちの作品を中心に、スライドを見せてもらいました。学生さんたちの作品には日本や中国などアジアのデザインを意識したものも多いですね。日本を含め海外からの参加者も多いといいます。
興味を惹いたのは、フィンランドでの技術教育の話です。 世界でもトップクラスの学校教育と定評のフィンランドでは、学校での技術教育に力を入れているのだそうです。小学校の工作室にある木工機械が、個人工房より充実している程だったのが物語っていました。中学校はもっと充実しているそうです。
韓国より低い学力を向上させるために、総合学習・技術を削減している何処かの教育とは対極にありますね。うらやましい限りです。
たくみ塾でも地元清見中学校の技術科・総合学習の時間を2002年度から担当させてもらっていますが、学校でのモノづくり教育は大切だと思っています。今年度の清見中学校の授業の様子は>>コチラ 木工だけでなく教育や社会の中でモノづくりを復興させることが、国全体の質を高めていくのではないか、そんなことを感じた講座でした。
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