コラム

木工職人を育てる記憶法。

人間の長期記憶には、大きく分けて3つの記憶があると言われます。
経験(エピソード)記憶
知識(意味)記憶
方法(手続き)記憶

経験記憶

経験記憶とは、生命の維持に関わる危険な出来事や場所、食べ物などの記憶のことです。
感情が大きく揺れ動いた経験から来る記憶も含まれます。

特徴としては、「頑張って覚えよう」としなくても、自然に覚えられることです。
また、その時の感情も同時によみがえる記憶です。

例えば制作で失敗してスタッフに叱られた経験などは、覚えようとしていなくてもなぜか覚えてたりしますよね。(忘れようとしても、忘れられない…)
しかも、何年も前の話でも、その時の悔しい思いがありありと頭の中に浮かんでくるのではないでしょうか?

このように、エピソード記憶は覚えやすいだけでなく忘れにくいのも特徴です。

知識記憶

二つ目の知識記憶とは、いわゆる暗記というタイプの記憶です。
例えば講座でスタッフから機械の操作方法を学んだり、書籍を読んで材料や木の知識を覚えたり、自分で覚えようとした記憶です。

特徴は、生死にかかわるものではないので、何度か復習をして刷り込みをしないと覚えられないことです。

そして、何かきっかけがないと思い出せないのも特徴です。
思い出したくても思い出せないことってありますよね。
喉まで出かかっているんだけど、あれなんだっけ?というときの記憶です。

方法記憶

方法記憶とは、身体で覚える記憶です。

例えば、刃物の研ぎ方などがそれに当たります。
いくらテキストを読んで内容を暗記しても、研ぎはうまくはなりませんよね。

理論ではなく実践(失敗)の積み重ね。
感覚的な要素が強く、失敗を繰り返しながら、うまくいくように体が覚えていくのです。

覚えるのに時間は掛かるけど、一度覚えると忘れにくい記憶です。
そして思い出そうとしなくても、体が自然と動く記憶です。

身体で覚える制作実習

日本の学校教育は、主に知識記憶に依存しています。

かつての徒弟制度は、方法記憶そのものだったのではないでしょうか。
そして、たくみ塾の強みは、制作実習という現場で方法記憶を活用していることにあります。

体が自然と動くようになるまで、繰り返し繰り返し続けるのです。
失敗から学んでいくのですから、失敗することは大切なことなのです。

知識を吸収することなんか、後まわしでいいんです。
職人を志すなら、まずは経験を積み重ねなさい。
森林たくみ塾の募集要項。

そして、記憶について関心がある方は、以下の書籍を読んでみるといいですよ。

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小木曽 賢一

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